近隣に野良猫が集まるゴミ屋敷が存在する場合、個人での解決を試みることは極めて困難であり、時には大きなトラブルに発展する恐れがあります。まず理解すべきは、ゴミ屋敷の住人の多くが、心理的な問題を抱えているか、セルフネグレクトの状態にあるという点です。彼らにとってゴミは必要な物であり、野良猫への餌付けは唯一の社会との繋がりである場合が多いため、論理的な説得が通じにくい傾向にあります。そこで重要になるのが、行政の力を借りることです。市区町村の保健所や環境衛生課には、ゴミ屋敷対策の専門窓口が設置されていることが多いです。野良猫の問題が絡む場合は、動物愛護センターとも連携を図る必要があります。相談の際は、具体的にどのような被害が出ているかを記録しておくことが重要です。悪臭が発生している時間帯、確認できた害虫や害獣の種類、野良猫の頭数、深夜の騒音、不衛生な環境を示す写真などが有力な証拠となります。現在、多くの自治体で「ゴミ屋敷条例」が施行されており、行政による調査や指導、勧告、さらには氏名の公表や行政代執行といった段階的な措置が可能になっています。また、野良猫への無責任な餌付けに関しても、周辺環境を著しく悪化させている場合には指導の対象となります。法的手段としては、民法上の不法行為に基づく損害賠償請求や、人格権としての平穏生活権を根拠とした妨害排除請求も考えられますが、これには多大な時間と費用がかかります。まずは行政を動かし、住人に対して「福祉的支援」と「法的指導」をセットで行うよう働きかけるのが現実的です。住人が孤立している場合、ゴミを片付け猫を適正に管理させるためには、本人の心を解きほぐすソーシャルワーカーの介入も欠かせません。地域の自治会と協力し、一人の声ではなく地域の総意として問題を提起し続けることが、長年放置されたゴミ屋敷と野良猫問題を解決に導く唯一の道となります。決して一人で抱え込まず、法と行政の仕組みを正しく活用することが、自分たちの生活を守るために必要不可欠なステップなのです。