私たちが依頼を受ける現場の中でも、野良猫が住み着いたゴミ屋敷の清掃は、最も過酷な作業の一つに数えられます。玄関のドアを開けた瞬間に、目や鼻を刺すようなアンモニアの刺激臭が全身を襲います。通常の生ゴミの臭いとは次元が異なる、重く、粘り気のある臭気です。作業は防護服と防毒マスクを着用して行われますが、それでも臭いは隙間から侵入してきます。室内の光景は凄惨です。腰の高さまで積み上がったゴミの隙間から、野良猫たちが逃げ惑います。猫たちはゴミをトイレとして使うため、至る所に糞尿が放置され、それが乾燥して粉塵となり舞い上がります。この粉塵を吸い込むことは、重篤な感染症のリスクを伴うため、まずは空間全体の除菌と消毒を徹底的に行います。次にゴミの搬出を開始しますが、猫の尿が染み込んだゴミ袋は非常に重く、また腐食が進んでいるため底が抜けることも珍しくありません。床材は尿の塩分と水分で腐り、踏むと底が抜ける危険がある場所もあります。壁紙には猫が爪を研いだ跡が無数にあり、そこから壁の内部にまで尿が染み込んでいます。ゴミをすべて運び出した後も、私たちの仕事は終わりません。本当の戦いは、染み付いた臭いの除去です。コンクリートの基礎まで浸透した臭いを取り除くために、特殊な消臭剤を噴霧し、オゾン脱臭機を数日間稼働させます。それでも完全に臭いが消えない場合は、床板を剥がし、壁を解体するなどの大規模なリフォームが必要になります。野良猫がいるゴミ屋敷の清掃費用が、通常の倍以上に跳ね上がるのは、こうした特殊な工程とリスクが伴うからです。依頼主の多くは、変わり果てた家の姿を見て涙を流します。ゴミと猫の糞尿によって、財産であるはずの家がここまで破壊されてしまうという事実は、どれほど言葉で説明するよりも、現場の惨状を見れば一目瞭然です。私たちは、ただ片付けるだけでなく、そこにある絶望をリセットする覚悟で現場に臨んでいます。